京では、祇園祭もいよいよクライマックスにさしかかり、地元の人やら観光客、はては外国人旅行者で四条通りも一番賑わいを見せるこの時期に、初めての入院と初めてのお産と、そしてこれまた初めての腹切り(帝王切開の手術)に少々の不安を感じながら病院のベッドに馴染まん身体をなんとか横たえて明日は母だ！しっかりせんと！と覚悟を決め、やったるで～！と根性入れをする私がいた。
ちょうどこの時間…
明日の腹切りの説明をしに主治医が病室へやって来た。「明日はレーザーメスを使いますから金属類は全て外しておくように。」
「ハイ、わかりました。」と言ったもののおっと一抹の不安が過ぎる…しかもすぐに…だ。
えらいこっちゃ?指輪が抜けないぞ?
ＮＩＮＡ　ＲＩＣＣＩのエンゲージリングが…
仕方なく病院抜け出て指輪を買ったイマホリへ行き、切ってちょ～だい
よほど動揺していたんだろうと振り返り思う。なんでパジャマでそこへ行ったか？多分頭の中では、この指輪を外さんと帝王切開できない。子供産まれ無い。ってことで一杯やったのではないか…思い詰めるタイプだから…。
誓い合ってはめてもらったエンゲージリングもたかだか一年で切る程に太ってしまうとは…の反省も全く無しにただただ緊張して眠れず、持参のタオルを雑巾にして病室の床まで掃除するという、今から思えばなんとも情けない母親誕生だった。
おかげさまで翌日一睡もできていない中帝王切開で無事出産。
祇園祭どころの騒ぎでは無い、自分の分身とのご対面に岡八郎なみのうぉ～うぉ泣きの私、時に二十八の初夏でありました。

あれから母親業もなんとか…マァマァ…

明日愛娘が18になります。

おめでとう。